たのはたジオツーリズム
田野畑の地形といえば、海のアルプスとも呼ばれる北山崎や鵜の巣断崖の景観を連想する人が多いことでしょう。豪壮な海食崖の風景は四季をとおして人々の目を楽しませています。海岸線は比較的ゆるやかで標高約200mの台地が波打ち際に迫る海岸段丘となっています。この段丘に深く刻まれた谷は近年まで人々の往来を阻み、村の発展を妨げていました。一昔前にこの地方に赴任した役人が、谷越えのあまりの厳しさに思わず辞職を決意したという「思案坂」と「辞職坂」の話は、今でも田野畑の人々の間で語り継がれています。
このような地形は三陸海岸北部の特徴といってよく、宮古以南から宮城県北部までの海岸の特徴であるリアス海岸とよく比較されます。これら田野畑の大地は長年の地殻変動による隆起海岸であり、その海岸線に露出している前期白亜紀の地層は宮古層群と呼ばれ、アンモナイトをはじめ種々の化石を豊富に産出し、当時の生物相を探る上で極めて貴重な存在となっています。また、中・後期ジュラ紀の地層にはマンガン鉱床が存在し、昭和中期まで採掘生産されていたほか、これまでに6種の新種鉱物(新鉱物)と数多くの稀産鉱物が発見されています。
夏にこの地を覆う海霧は「やませ」と呼ばれ、たびたび凶作を起こす一因として人々を苦しめてきました。しかしこの冷たく湿気ある霧により、海岸線に亜高山植物のシロバナシャクナゲやブナの巨木が自生する全国でも貴重な生態系が見られます。
田野畑の地質や地形、そして自然の生態系は、この地に営み続ける住民の暮らしや歴史・文化と融合した姿で今この場所に存在しており、それら「田野畑のジオ」を探る旅(ツーリズム)は、秘められた限りない可能性と大いなるロマンに満ちあふれています。
「たのはたジオパークガイド」のご案内
白亜紀の化石層、「やませ」や津波など厳しい自然現象と向き合ってきた人々の暮らしや貴重な動植物についてガイドします。
各地のジオサイトでは、地層の化石に直接触れ学ぶことができます。
料金 | 個人 | 3,000円/1人 |
団体 | ガイド1人あたりの料金設定です。 10,000円/ガイド1人 (1ガイドあたり参加者20名まで) |
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所要時間 | 60分 | |
予約・ 問い合わせ先 |
体験村・たのはたネットワーク 【TEL】 0194-37-1211 【FAX】 0194-33-3355 |
※少雨は催行可能。荒天は中止となる場合があります。
三陸ジオパーク
三陸地域は、地球活動の歴史を実際に見ることができる地域(ジオサイト)に恵まれています。従来の観光に、地質学、地理学のような科学的視点を含む「ジオツーリズム」を取り入れることで、新しい魅力が加わることが認められ、「三陸ジオパーク」は平成25年9月に「日本ジオパーク」に認定されました。
三陸ジオパーク推進協議会は、従来の観光に地質学や地理学を加え、動植物や人との関わりを学び、楽しむ「ジオツーリズム(ジオ旅)」の推進や様々な研究などを推進するため、青森県の八戸市・階上町、岩手県の洋野・久慈・野田・普代・田野畑・岩泉・宮古・山田・大槌・釜石・住田・大船渡・陸前高田の沿岸全13市町村、宮城県の気仙沼市が連携した取組みを進めています。
三陸ジオパーク推進協議会事務局
〒027-0072
岩手県宮古市五月町1-20 宮古地区合同庁舎内
TEL 0193-64-1230 FAX 0193-64-1234